<2004.8.8> 出迎えて呉れたもの
・・・曇り一時晴れ・・・

整備された渓沿いの路を利用する事無く 何故か

二箇所の峠越えが控える 大回りの林道をひた走る

標高が有る事で 急なアップダウンが続き ヘッドライトは

ガスの掛かった 白の世界を照らし出す  良く知った

ルートとはいえ神経は磨り減る物だ 人気の薄い林道では

この山塊住人達が ”なっなんだぁ?” と云わんばかり

キョトンとした表情で此方を振り返り そそくさと逃げ惑う

進行方向へと逃げ回る 狸の後姿に導かれ 急な

下り坂を行くと 『あん 今度は何だぁ?』 下りカーブの

先には何か蠢く白い物体が・・・・・・。

『なぁんだぁ 犬じゃん』 『まてよ何で人里離れたこの場所で?』

犬君に問い質す間も無く 此れも進行方向へと逃げ下る

『おおおい 何処まで行くんだぁ』 『力尽きバッタリ倒れ

たりはせんといてぇ』 時々必死の形相で振り返る犬の

後姿に気を取られ チェックを入れる枝谷を見落とし

渓沿いの路へと跳び出してしまった


何時も釣り人の絶える事無い この地でも何故か今回

流れへ続く踏み後さえも見当たらない? 鬱蒼と生茂る

藪を強引に割り さらさらと流れ下る本流の傍らに立った

この時期名物虻の大群が 期待を裏切らず我々を迎え

歓迎する 沈み石に記された垢跡が 幾らかの水位上昇を

指し示し 顔を洗う為に掬った流水は 程好い冷たさで

釣りにとって 絶好の条件と成るようだ。

コン! 木っ端特有のアタリにも 無意識に返る手首

一気に抜き飛ぶ 足元へ落ちるのは五寸程のアマゴ

<こんなサイズばかり>


『う〜ん!お姉さんかお兄さんを呼んどいでん』 流れに浸しながら鍼のちもとを摘み捻ってやると パシャッ!

身を翻し 勢い良く元の位置に消え去る  淵 落ち込み 平瀬と もうどんなポイントからもアマゴは飛び出す

投餌 釣り上げ 放流 餌付けの連続動作と成ってしまった しかしそのサイズはこまい せいぜい6、7寸までか

ドォォォォォッ!と 勢い良く流水が吐き出され 駆け上がり辺りから巻き込む大堰堤下前で よし此処ならいけると

気合を入れ直し竿を振る ピュッ! 風切り音を残し ラインは意識を有した生き物のように飛び 水深2mばかりの

底へと向け吸い込まれて行った 『よし々 ええぞぅ』 モゾッとした大型魚特有のサインを心待ちにするも ピシッ!

強い合わせと同時に 舞ったのは此処までと同じサイズのアマゴが ラインの先でヒラヒラと 何とも情けなく

ええいこうなりゃあとことん釣ってやるとばかり 遡行ピッチを上げる 其の都度流れで洗って居た指抜き手袋も

魚のヌルが取れず 生臭き事この上なく 朝7時には終に餌切れ状態 粘る釣友を残し路へと這い上がる ああああ

やめだぁもう 早めの宴会へと雪崩れ込んで行くのか。

                                                             oozeki